自然

NATURE

神々のすむ世界遺産の森

古くから信仰の対象として、そして手つかずの自然が残る弥山では、厳島神社の後背地にある常緑広葉樹(照葉樹)のエリアが平成8年(1996年)に「弥山原始林」として世界遺産に指定されました。その植物の多様性は日本の縮図とも言われるほどで、標高に応じてさまざまな木々を観察することができます。

冬でも葉が生い茂り、実りをもたらす照葉樹の森。その森に暮らし日々の糧を得る、シカなどの野生動物。一万年以上前から変わらぬ営みが、奇跡の景観をつくり上げています。

弥山原始林の代表的な植物

  • ヤブツバキ

    照葉樹林を代表する樹木の一つで、弥山にも多数生育しています。

  • マツブサ

    原始的植物に分類されますが、秋に甘酸っぱい液化果が熟します。弥山のマツブサは葉の裏が粉をふいたように白く、ウラジロマツブサと呼ばれています。

  • ツガ

    山頂付近にツガ-アセビ群落が発達しており、弥山原始林の価値を高めるものとして非常に貴重な存在です。弥山本道沿いでは、登山道入口付近から山頂までツガが生育しています。

他にもヤマグルマ、モミ、ミミズバイなど多様な植物が見られます。

世界遺産へのあしどり

画像:循環式

弥山原始林は、昭和4年(1929年)に天然記念物に指定され、昭和32年(1957年)には特別保護地区となり、そして平成8年(1996年)には世界遺産として登録されました。人々の居住地に近いところに原始林があることではもちろん、植物自体が植物学の調査研究に欠かせないものと珍重され、昭和39年(1964年)には宮島西部の室浜に広島大学理学部付属自然植物園が設けられ、毎日観察と研究が続けられています。

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奇岩

弥山ならではの景観を創り出している“奇岩怪石”をご紹介します。

これらの岩は、弥山の主な地質である花崗岩が風化して生まれたもので、この奇岩怪石が形成する奇観が、山岳信仰の礎になっていると言われています。
また、山頂へ登ると大小の岩石に囲まれた広場があります。遠くは四国・九州の連山、近くは内海に浮かぶ大小の島々を眺望できる、瀬戸内海随一の見晴らしポイントです。

  • くぐり岩

    くぐり岩

    ここをくぐれば弥山山頂へあと一歩の巨大な岩のトンネルで、通称「くぐり岩」と呼ばれています。ここ数年の地震により高さがだんだんと低くなってきたと言われています。

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  • 鯨岩

    鯨岩

    大聖院コースの分岐点である仁王門跡を通り抜け、石段を登りきった所に、狭い道があります。その右側にある岩石は、形がクジラの頭に似ていることから「鯨岩」と呼ばれています。

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  • 舟岩

    舟岩

    七不思議の一つの干満岩のすぐ下にあり、舟の形をした大きな岩であることから「舟岩」と呼ばれています。岩の真下には石造りのお地蔵様が置かれています。

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  • 疥癬岩

    疥癬岩

    大日堂のすぐ上にある大きな岩。不心得な人がこの岩のそばを通ると皮膚病の疥癬になり、疥癬に悩む信心深い人がこの岩に触ると、病が岩に移り治ると伝えられています。

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  • 遊女石畳道

    遊女石畳道

    平らな石が、およそ180mにも渡って敷きつめられている石畳の道。江戸時代の終わりに、参道を補修してほしいという遊女たちの寄付によって完成しました。

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  • 幕岩

    幕岩

    山肌から露出する巨大な一枚岩で、弥山を代表する絶景の一つ。その長さは、なんと150m以上あるとも言われています。

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  • 賽の河原

    賽の河原

    山の斜面に鎮座する巨大な岩の下に、多数のお地蔵様が祀られています。

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野鳥

宮島は野鳥の宝庫です。周囲30kmの小さな島で、水辺、市街地、山地の鳥のほとんどが見られることは、全国的にも珍しいと言われています。

  • 留鳥

    エナガ

    エナガ

    ヤマガラ

    ヤマガラ

    ヤマガラ・シジュウカラ・エナガなどが代表的。キツツキの仲間のコガラ・アカゲラ・アオゲラも見られます。

  • 夏鳥

    オオルリ

    オオルリ

    キビタキ

    キビタキ

    4月頃からオオルリ・キビタキなどが渡来。10月末の旅立ちまで、繁殖を終えた鳥たちは低地で過ごします。

  • 旅鳥

    エゾビタキ

    エゾビタキ

    ノビタキ

    ノビタキ

    10月上旬、本州以北で過ごしたハチクマ・チゴハヤブサなどが弥山の上空を通過して暖地へと渡ります。また、月末にはエゾビタキ・ノビタキ・コマドリなどが宮島を休息所とし、通過していきます。

  • 冬鳥

    ジョウビタキ

    ジョウビタキ

    ルリビタキ

    ルリビタキ

    10月末には、ツグミ・ジョウビタキ・ルリビタキ・キクイタダキなど、数多くの冬鳥が飛来します。

花だより

宮島で見ることができる季節の花の一部をご紹介します。

春に見られる花

  • アセビ

    宮島町の花で、馬酔木と書いてアセビと読ませます。反芻動物であるシカにとって有害な毒素を含むため、シカの食害に合わず、宮島全土で多く見られます。

  • ヤマザクラ

    おもに日本列島南部の低山地に広く分布し、寿命が長く、かなりの大木に成長。華やかなソメイヨシノなどと一味違う、奥ゆかしい風情を感じることができます。

  • ヤマツツジ

    4月下旬から7月中旬にかけて開花。登山道など明るい林縁で見られ、その透明感のある赤い色は、新緑の中でひときわ目立つ美しいアクセントになっています。

夏に見られる花

  • コバノヘクソカズラ

    昭和3年、弥山へ調査に訪れた東大博士が発見したヘクソカズラの小型種。宮島の植物は他の地域に比べ小型のものが多く、研究者の関心を呼んでいます。

  • タカサゴユリ

    高砂(たかさご)とは原産地である台湾の地名で、別名タイワンユリ。花の形だけを見るとテッポウユリと似ていますが、葉が細いところが違います。

  • カンザブロウノキ

    花は白色で、果実は黒色。日本列島南部に広く分布していますが、瀬戸内海周辺での生育はごくまれ。弥山では、海抜300m以下の谷間に多く見られます。